第4回
サステナブルファイナンスやESG投資がグローバルで急速に拡大していますが、個人投資家にとってのサステナブルファイナンスとは、どのようなものなのでしょうか。
例えばESG投資を個人で実践する場合、個別株投資や投資信託といった選択肢が挙げられます。個別株投資の場合は、先進的なESGの取り組みを実施する企業へ投資するという方法が考えられますが、その際に参考になるのが、企業が開示している各種情報です。例えば、財務情報に加えて非財務情報も掲載する「統合報告書」や、ESGやサステナビリティの取り組みを報告する「サステナビリティ・レポート」等が挙げられ、また、多くの企業がウェブサイトでもESGやサステナビリティの情報を開示しています。そして、外部機関の情報として参考になるのが、企業のサステナビリティ格付けやESG指数(インデックス)です。代表的なサステナビリティ格付けとして、「FTSE4Goodインデックス」や「Dow Jones Sustainability Index(DJSI)」、「Carbon Disclosure Project(CDP)」等が挙げられ、いずれも、企業のESGやサステナビリティに関する取り組みとその結果を投資家に伝えることに大きな役割を果たしています。
日本に於いては、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用しているESG指数がよく知られています。GPIFは、2017年度に国内株式を対象としたESG指数に基づく運用を開始し、2018年度には、新たにグローバル環境株式指数を選定し、運用しています(以下表参照)。
いずれもESGの観点で銘柄が選定されていますが、GPIFも言及しているとおりESG評価は財務分析とは違って歴史が浅いこともあり、その評価手法については現時点でスタンダードとなるものは確立されていないのが現状です。ESGのパフォーマンスは、ESG評価機関の間で評価に大きなバラツキがあり、その背景として、①ESG評価手法が発展途上であること、②ESGに関する企業側の情報開示に改善の余地があること、などが挙げられています (i)。従って、1つの格付けやインデックスで評価するのではなく、投資検討の一つの要素として参照するのが適切であると言えます。
投資信託(ファンド)に関しても、ESGやSDGsをテーマとした商品が数多く誕生しています。一口にESG、SDGs関連ファンドと言っても、テーマや内容、そしてパフォーマンスは様々に異なるため、目論見書を確認し、目的に沿った商品を選ぶことが重要となります。
次回は、EUタクソノミーをはじめとしたサステナブルファイナンスのグローバル最新動向をご紹介します。
【出典】