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第15回

2021年度「都民向け金融セミナー 基礎からわかる金融の知識とサステナブルファイナンス」開催報告(上)

 2021年度の都民向け金融セミナー「基礎からわかる金融の知識とサステナブルファイナンス」が、『東京・サステナブル・ファイナンス・ウィーク』内の2021年10月23日(土)に開催されました。
 日本の個人金融資産は約1,900兆円ですが、株式などへの投資は約1割にとどまっています。低金利のため預貯金だけでは資産が増えず、今後はお金を増やす資産運用が大切です。預貯金から投資への流れを生み出すことは私たち一人ひとりの資産形成はもとより、コロナ禍の先の日本の持続的成長という面においても重要になっています。
 昨年度に引き続き2回目となる今回のセミナーでは、サステナブルファイナンス(=持続可能な社会を実現するための金融)や投資についての基礎知識・実践方法についてわかりやすくお話いただきました。
 当日の様子はYouTubeで視聴いただけます。また、各ご登壇者の資料も掲載しております。



【講演①】

ファイナンシャル・プランナー(日本FP協会認定CFP®認定者)
北野 琴奈氏

■ ライフ・マネープランを考えよう!

 ライフスタイルが多様化していて、その中で就職・結婚・出産・住宅購入の何を選んでいくのかによってかかるお金が異なりますが、リタイアの前と後でかかるお金、収入について例として単純化して考えてみたいと思います。
 リタイア前にかかるお金は、①毎日の生活にかかる生活費、②住居費、③教育費の大きく3つがあります。試算のケースを共働き、住居はマイホーム、子ども2人としてみましょう。一人が470万円(額面600万円前後)で30年勤務、もう一人が240万(額面300万前後)で20年勤務とした夫婦だと生涯年収が1億8,900万程度です。①住居費と教育費を除いた生活費を月額24万円、②住居費として7,000万円(5000万円弱のマイホーム購入の頭金、ローン返済、保有中のランニングコストを含む)、③教育費は1600万円(公立に進学した場合の800万円が2人分)とすると、1億7,240万円がリタイア前にかかるお金です。残るのは1600万円で、子どもが私立に行くなどがあるともしかしたら余らないかもしれません。
 リタイア後にかかるお金を考えてみましょう。60歳から30年間とします。40年会社勤めをして夫婦2人で65歳からもらえる厚生年金の平均月額が現在22万。生活費が総務省の65歳以上無職世帯の27万円とすると、65歳からは差額月額5万円(60〜64歳は27万円全額を自身で用意するとする)なので30年間で3,000万円程度必要です。リタイア後に必要な資金をいかに確保するかが課題です。



■ 長期の資産形成
 リタイア後の資金確保という課題への対応するため「長期的な視点」から資産形成について考える必要があります。長期の資産形成の1つの鍵は、早期からの資産運用です。例えば、リタイアまでの20年間で毎月3万円貯蓄しただけだと720万円。これを利回り2%で運用した場合は884万円(複利・税引前)になります。1万円でもよいのでなるべく早く資産運用を始めることが大切です。
 また、資産運用には時間を分散させることも重要です。というのは、1981年から2021年の日経平均株価の推移をみるとわかるように、バブル期やその崩壊、リーマンショックなどその時々により株価には上昇・下落の波があるからです。例えば、一気に100万円を投資するのではなく、少額でもよいので20年、30年と継続的に投資していくことがゆくゆくはプラスになる可能性が高まると言えそうです。  
 もう1つ大切なのは、投資対象の種類の分散です。投資対象は国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の4つが基本で、債券は価格の揺れ幅が比較的小さく、株式は振れ幅が大きいという特徴があります。私たちの公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ではこの4つに25%ずつ均等に投資をしています。そうした事例も参考にしながら投資対象の種類の分散にも心がけてほしいと思います。

【講演②】

ファイナンシャル・プランナー フィナンシャル・ウィズダム代表
山崎 俊輔氏

■ 投資の基礎知識

 投資というとまだまだマイナスのイメージを持っている人が多いですが、投資とは直近では使わないお金で債券や株式を購入することで国や地方自治体、企業などにお金を回し、企業はそのお金で新製品を開発したり、国や地方自治体はインフラを整備したりとより豊かな社会づくりを進めていくわけです。そうした意味では投資とは社会のためになることだと述べました。
 同時に、投資は私たちの資産形成の大きな力になります。その際のポイントは「長期投資」「積立投資」「分散投資」の3つです。例えば、毎日カフェラテ1杯分くらいの小さな資金(約370円)であっても、40年間積み立てを続け、もしも長期投資の利回りが年5%であったら1,700万以上の資産が形成できるとし、リスクを考慮しつつも世界中に幅広く投資してみる方法がお勧めです。



■ 「iDeCo」と「つみたてNISA」
 資産運用をする際は、個人型確定拠出年金(iDeCo)や少額投資非課税制度(NISA)といった税制優遇があるお得な口座を活用してほしいと思います。iDeCoは自分の老後のために自分で積み立てをする年金という位置づけで、①掛金が全額所得控除されるため所得税と住民税が軽減できる、②金融商品の運用益には通常税金がかかるがiDeCoの運用益は非課税、③iDeCoの老齢給付金や年金給付を受け取る際にも税制優遇適用と3つの大きな税制優遇が受けられるのが魅力です。ただし年金なので原則60歳までは引き出せないという制約があります。
 NISAは、純粋に運用益が非課税になるというもので、普通の証券口座で投資をするよりもNISA口座で投資をしたほうがお得になります。NISAは現在2種類があり、「一般NISA」は非課税投資枠120万円/年で最長5年間、もう1つの「つみたてNISA」は非課税投資枠40万円/年で最長20年間、非課税で投資ができ、これから投資を始めてみようという人には「つみたてNISA」がお勧めです。



■ 金融機関・金融商品の選び方
 iDeCoやNISAは国の制度なのでどの金融機関で始めても同じと思いがちですが、金融機関ごとに取り扱っている投資信託のラインナップや手数料体系などが異なっているため、iDeCoやNISAの口座を開設する際はまず金融機関を選ぶことが大切です。NPOが開設している比較検索サイトを活用したり、実際に各金融機関のホームページをチェックしたりして、最初のパートナー選びをじっくり考えてほしいと思います。
 iDeCoやNISAの口座を開設する際は、本人確認はもちろん、NISAはマイナンバー、iDeCoは基礎年金番号が必要となるなど開設書類の手続きが生じますが、基本的には1回のやり取りでスムーズに完了します。投資はハードルが高いと思われがちですが、iDeCoやNISAをうまく活用して一歩を踏み出して、自分の資産が増えるサイクルを動かし始めてほしいです。

【トークセッション】

 北野氏と山崎氏の各講演後、武藤十夢氏(AKB48、気象予報士、ファイナンシャル・プランナー)を交え、聴講者の皆さんからの質問に沿ったトークセッションを行いました。


■ テーマ① 40代以降からの投資への向き合い方は(山崎 俊輔氏)
 長期投資の話をすると若い人向けと思われがちですが、40代・50代になっても基本的な考え方は同じです。ただある程度資産形成ができ、守るべきものがある年代なので投資に回すお金と定期預金として残しておくお金のバランスは意識してほしいと思います。投資と向き合ってほしいのはシニア世代も同様であり、人生100年時代といわれる今、無理のない資産運用で自分のお金を長生きさせるという観点はますます重要になってきます。


■ テーマ② 投資を行う際に押さえておきたい知識とは(北野 琴奈氏)
 投資に一歩踏み出すとリスクを忘れてリターンばかりを追ってしまう人が多くいて、結果的にハイリスクな商品や怪しげな投資話に乗ってしまうケースもあります。どんな金融商品にも必ずリスクがあることを認識しておく、そして最悪の場合はどうなるのかを押さえておくことが投資を行う際の最低限の知識です。

■ テーマ③ 初心者が怖がらずに投資を始めるには(武藤 十夢氏)
 確かに自分のお金が減ったりするのは怖いと感じると思いますが、例えば1,000円などの小額から始めれば10%下がっても100円の減少なので、そのぐらいの金額ならば勉強料と考えて怖さも軽減されるのではないでしょうか。また、自分自身のお金が関わることで自ずと資産運用についての勉強もするようになり、そのように知識を少しずつ増やしていくことで怖さや失敗も少なくなっていくと思います。

セミナー後半の内容は、「2021年度『都民向け金融セミナー 基礎からわかる金融の知識とサステナブルファイナンス』開催報告(下)」で紹介します。


制作:株式会社時事通信社 総合メディア局

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